朝起きると腰が重い・歩くと響く・座っていられない…
そんな慢性腰痛の原因と、鍼灸で改善できるポイントを解説します。

『朝起きるとガチガチで腰が伸びない』
『立ったり座ったりするとズキっと腰に響く』
『長時間のデスクワークがつらい』
『前かがみでの作業がつらい・こわい』
このような腰痛は、生活のあらゆる動作に影響するため、じわじわストレスが溜まっていきますよね。
中には、
・湿布や痛み止めでごまかしている。
・マッサージではよくならない
・病院では「骨に異常なし」と言われた
・ストレッチをしても楽になるのは一時的
などのお悩みを抱えている方が多くいらっしゃいます。
このようになかなか良くならない慢性の腰痛は、筋肉や筋膜(ファシア)の問題が背景にあるケースが少なくありません。
そのような場合、トリガーポイント鍼灸療法が有効な選択肢となります。
このページでは、
・腰痛の主な原因と分類
・なぜ鍼灸(特にトリガーポイント鍼灸)が有効なのか
・改善のために必要なポイント
をわかりやすくお伝えしていきます。
1.慢性腰痛について
慢性腰痛には様々なタイプがありますが、多くの慢性腰痛に筋肉・筋膜(ファシア)の緊張や滑走不良(癒着)が関わっています。
【よく見られる症状】
・腰の重だるさ
・前かがみ、反る動作が痛い
・朝の動き始めの強いこわばり
・長時間座ると痛みが悪化
・お尻〜太ももにかけての張り感
腰は体の中心なので負担がかかりやすく、原因は一つではなく複数の要因の積み重ねで生じることが多いです。
【主な原因】
・長時間の座位や立位
・猫背、反り腰、側湾など姿勢の癖
・腹筋、臀筋の筋力低下
・股関節や背骨の柔軟性低下
・ストレスや自律神経の乱れ
・筋膜(ファシア)の癒着、滑走障害
・反復動作(仕事・スポーツ)の疲労蓄積
特に近年注目されているのが、
「筋膜(ファシア)の癒着・滑走障害」が引き起こす腰痛です。
※ファシアとは、筋肉・腱・靱帯・脂肪・臓器・骨・血管・神経など、体中のあらゆる組織を包み込み、連結させている全身の網目状況の結合組織の総称
2.慢性腰痛の分類
腰痛は、一般的には原因が特定できる「特異的腰痛」と、原因が特定できない「非特異的腰痛」に分類され、さらに期間や部位、痛みの性質などによって細分化されます。ここでは施術をする観点から慢性腰痛を以下のように分類して考えてみます。
| タイプ | 特徴 | 主な症状 | 鍼灸の適応 |
| Ⅰ.筋・筋膜性タイプ | 腰回りの筋肉や筋膜の緊張や滑走不全による痛み | 動き出し痛、姿勢・体勢で悪化 | ◎最も鍼灸効果が期待できる |
| Ⅱ.股関節・骨盤運動タイプ | 股関節・臀部の問題が腰に波及 | 立つ・歩くでの痛み | ◎関連筋への施術が有効 |
| Ⅲ.慢性硬化タイプ | 腰部の様々な組織が硬化し負荷に弱い | 長時間座位・動作後痛 | ◯筋膜ケアで改善可能 |
| Ⅳ.その他(椎間板・神経など) | ヘルニア・狭窄などの疑い | 痛みが神経に沿って走る | ◯医療機関との併用推奨 |
| Ⅴ.その他(強度の器質的病変) | 圧迫骨折や強度のヘルニア・狭窄・分離など | 病変部位や状態によって異なる | △補助的に有効 |
❗️注意
※本記事の分類は、医師の診断に代わるものではなく、鍼灸施術の視点から症状の傾向を整理したものです。
※神経症状(しびれ、力が入りにくい)は医療機関での評価を推奨します。ヘルニアや狭窄と評価されても対応可能なケースも多いです。
3.なぜ腰痛にトリガーポイントが関係するのか?
トリガーポイントとは感覚受容器が暴走した状態で、痛みやしびれの引き金になる“過敏ポイント”のことです。
トリガーポイントは癒着を起こしたファシア(筋膜など)に発生しやすく、痛みやしびれなど様々な不快症状を発生させます。もちろん多くの腰痛にも関与してます。
【特徴】
・押すと「そこそこ!」という感覚がする
・離れた部位にも関連痛やしびれを飛ばす
・ファシアの癒着に発生しやすい
腰〜骨盤周囲では、以下の筋肉にトリガーポイントができやすいです。
・脊柱起立筋
・多裂筋(インナーマッスル)
・腰方形筋(インナーマッスル)
・腸腰筋(インナーマッスル)
・大臀筋、中臀筋、小臀筋(インナーマッスル)
・大腿筋膜張筋
これらの筋肉が緊張したり癒着すると、
・骨盤が傾く
・腰椎の位置が乱れる
・腰への負担が増える
という悪循環も生まれ、慢性痛につながりやすくなります。
4.トリガーポイント鍼灸療法とは
トリガーポイント鍼灸療法とは、トリガーポイントに鍼を刺すことによって免疫反応を高め、ファシア(筋膜)の癒着を改善して、トリガーポイントを正常な状態に導く施術法です。
トリガーポイントを正常化することによって、痛みやしびれ、自律神経症状など、様々な不快症状の改善を目指します。
【特徴】
・免疫反応で修復が促進
・深部の筋肉にもアプローチ可能
・筋肉以外の組織も施術対象
・ファシア(筋膜)の癒着や滑走障害を改善
・鍼を刺すと独特の『ひびき』を感じる
・鍼を刺すと筋肉がピクっと動くことがある(ローカルトゥイッチ)
・施術直後だけ楽になることではなく、持続的に良い状態になることを目的とする
頑固な慢性の腰痛は、「筋肉のみアプローチ」「浅い部分の施術」「炎症の鎮静」「神経のブロック」だけでは改善が難しいことが多いため、トリガーポイント鍼は相性が良いことが多いと言えます。
5.安全性と精度を高めるために:超音波エコーの活用
当院では、必要に応じて超音波エコー(エコーガイド下鍼)を使用しています。
【メリット】
・深層の筋肉を安全に施術できる
・狙ったポイントに正確に鍼を届けられる
慢性腰痛の施術で重要な、深層筋の施術で活躍します。
6.おわりに
腰痛は命に関わる病ではないものの、「座る」「立つ」「歩く」などの様々な日常動作に影響を与えるため、ストレスは非常に大きいものです。
筋肉や筋膜などのファシアが原因の腰痛は、画像検査では異常が写らないため、対応策にお困りの方がとても多いようです。
トリガーポイント鍼灸療法とエコーガイド下ファシアリリースが、皆様の快適な日常を取り戻すきっかけになれば嬉しいです。




















